アンカースクリューとは?痛い?メリット・注意点と費用を解説します 

アンカースクリューとは?痛い?メリット・注意点と費用を解説します

アンカースクリューとは?痛い?メリット・注意点と費用を解説します

アンカースクリューを用いて矯正治療を行うことで、ガミースマイルや重度の出っ歯など、従来の矯正治療では治すのが困難だった症例にも対応できるようになります。

 

当記事では、アンカースクリューによる治療の痛み・メリット・注意点・費用面などについてくわしく解説します。アンカースクリューによる治療を検討中の方は、ぜひお読みください。

 

アンカースクリューとは?

オペの様子

アンカースクリュー、またはミニインプラントとは、金属でできた小さなネジのことを指します。アンカースクリューを用いた矯正治療では、スクリューを歯茎の骨に埋め込むことで歯を動かす際の固定源として利用し、治療を行います。

 

治療で用いるアンカースクリューはチタン製です。チタンは人間の体に違和感なく馴染みやすい性質となっているため、アレルギー反応などが起こるリスクがほとんどありません。

 

アンカースクリューの5つのメリット

メリット

アンカースクリューを使用した治療には、主に以下5つのメリットがあります。

 

  1. 周囲の歯に影響なく歯を動かせる
  2. 抜歯なしで治療ができる
  3. 従来は難しかった方向に歯を動かせる
  4. 治療期間が短い
  5. 手術なしで矯正できる

 

以下でくわしく解説していきます。

 

①周囲の歯に影響なく歯を動かせる

最初に挙げられるメリットは、周囲の歯に影響なく歯を動かせるという点です。

 

従来の矯正方法では、周囲の歯を固定源にして動かしたい歯を引っ張っていました。しかしアンカースクリューを使用した治療であれば、歯の代わりにスクリューを固定源として利用するため、ほかの歯に影響を与えることがありません。

 

ほかの歯が動いてしまうということもなく、動かすべき歯のみをピンポイントに動かせる治療法です。

 

②抜歯なしで治療ができる

続いてのメリットは、抜歯なしで治療ができるという点です。

 

一般的な矯正治療では、一部の歯を抜くことで歯列にスペースを作り出し、そのスペースに突出した歯を入れ込む形で歯並びを整えます。こうした過程を踏む以上、歯列矯正で抜歯が必要となるケースは多くありました。

 

しかしアンカースクリューを使用した治療では、歯を抜かなくても歯列にスペースを作り出せるため、抜歯の必要がなく治療ができる可能性が高くなります。アンカースクリューによる治療では、従来の矯正方法において困難とされていた「奥歯を後方に動かす」という治療方法が可能となっているためです。

 

奥歯を後ろに移動させることで、抜歯なしで歯列にスペースを作り出し、歯並びをきれいに整えられます。

 

③従来は難しかった方向に歯を動かせる

続いてのメリットは、従来は難しかった方向に歯を動かせるという点です。

 

アンカースクリューによる治療では、スクリューを埋める位置の調整で、左右だけでなく上下にも力を加えられます。どの角度にも力を入れられるため、従来の歯列矯正では実現が難しいような歯の動かし方も可能です。

 

④治療期間が短い

手に持った砂時計

続いてのメリットは、治療期間が短いという点です。

 

アンカースクリューを使った治療は、ワイヤーなどを使用した一般的な矯正治療よりも治療にかかる期間が短いという特徴を持っています。

 

一般的な歯列矯正では、奥歯を固定源にして歯を移動させますが、この場合あまり強い力で移動させられません。引っ張る力が強すぎると、固定源であるはずの奥歯まで動いてしまうためです。

 

しかしアンカースクリューを使用した治療の場合は、アゴの骨にしっかりと埋め込まれたスクリューを固定源とするため、引っ張っても奥歯が動いてしまうリスクがありません。動かすべき歯を、引っ張る力を加減したりせずに動かしたい場所まで一気に動かせるため、その分早期に治療を完了させられます。

 

⑤手術なしで矯正できる

続いてのメリットは、外科手術なしで矯正できるという点です。

 

アンカースクリューによって、今までの矯正治療では動かすのが難しかった向きへと歯を動かすことができるようになりました。これにより、今まで外科手術をする必要があった患者さんでも、アンカースクリュー以外の手術は行わずに治療ができる可能性が出てきました。

しかし、全ての患者さんが外科手術を回避できるわけではありません。精密な検査を行ったうえで、外科手術なしに矯正治療ができるか歯科医師に診断をしてもらいましょう。
 


 

アンカースクリューの3つの注意点

CAUTION 黒板

アンカースクリューを用いて治療を行う場合、以下3つの点に注意する必要があります。

 

  1. 抜けてしまう恐れがある
  2. 初期段階では腫れや痛みがある
  3. 歯根が傷つくこともある

 

それぞれくわしく解説します。

 

①抜けてしまう恐れがある

アンカースクリューを使用した矯正の注意点1つ目は、抜けてしまう恐れがある点です。治療を行っている際、埋め込んだスクリューが緩んだり、抜け落ちたりしてしまうことがあります。

 

アゴの骨が薄かったり柔らかい患者さん、タバコを日常的に吸われる方、口内に汚れが多い方はアンカースクリューの成功率が低くなりやすい傾向にあります。

 

アンカースクリューが外れた場合は再度埋め込みを行いますが、何度埋入しても外れてしまうような場合には、ほかの矯正方法に変更となるケースもあります。

 

②初期段階では腫れや痛みがある

PAINFULと書かれた木

続いてのアンカースクリューを使用した矯正の注意点は、埋入直後では腫れや痛みがある点です。

 

神経を傷つけたり、血管を傷つけて出血が止まらないといったリスクはほとんどありません。また出血もほとんどありませんので、安全な処置になります。

 

ただしアンカースクリューを入れた直後は、傷口が治るまで腫れや痛みが発生することがあります。症状は2~3日で治まることがほとんどです。痛み止めのお薬を1~2回飲んで済むことが多いようです。痛みや腫れが続く場合には、担当医に連絡をして診てもらった方が良いでしょう。

 

③歯根が傷つくこともある

3つ目のアンカースクリューを使用した矯正の注意点は、歯根が傷つくこともある点です。

 

アンカースクリューによる治療では、歯根同士の間にスクリューを埋め込みます。したがって、高い技術力を持っている歯科医師でないと、埋め込む際に歯根へダメージが加わってしまう可能性があります。歯科用3次元のレントゲン写真CTがある病院では、事前に歯根の位置情報が確認できるので、より安全に埋入することができます。

 

アンカースクリューを用いた矯正が必要な症例

一般的な歯列矯正では対応が難しく、アンカースクリューを用いた矯正が必要となる症例は、主に以下の3つです。

 

  1. ガミースマイル
  2. 出っ歯
  3. 奥歯の移動

 

それぞれくわしく解説していきます。

 

①ガミースマイル

アンカースクリューを使用した矯正が必要になる最初の症例は、ガミースマイルです。ガミースマイルとは、歯を見せて笑った際に上顎の歯茎が大きく露出する状態のことを指します。

 

ガミースマイルを治療する方法のひとつとして、上の前歯を歯茎の向きに引っ張り上げる「圧下」が挙げられます。しかし従来の歯列矯正では上方向に力を加えられないため、圧下ができず、ガミースマイルを治すためには外科的な手術が不可欠となっていました。

 

しかし上下左右に力を加えることのできるアンカースクリューであれば、手術を要さなくとも従来の矯正装置で前歯の圧下を行うことができます。そのため、アンカースクリューを使用した治療はガミースマイルを治す際に最適の矯正方法となっているのです。

 

②出っ歯

続いてあげられる症例は、重度の出っ歯です。

 

重度の出っ歯の治療では、だいたい犬歯の後ろにある小臼歯の抜歯を行い、前歯を後方にさげるのに必要なスペースを確保します。その後、抜歯をしたスペースの閉鎖する手順で治療を進めていきます。

 

従来のスペースの閉鎖では、前歯を後方にさげるのに奥歯との引っ張り合いをして抜歯した隙間を閉鎖していました。しかし、この方法では前歯が後ろに引っ張られるのと同時に、奥歯が前方に移動してしまいます。奥歯が前に出てくるため、結果的に前歯のさがる移動量が少なくなるというデメリットがありました。

 

そこで、奥歯にいれたアンカースクリューと前歯を引っ張り合います。そうすることで、奥歯は動かさずに前歯だけを後方に動かせるようになります。抜歯した隙間はすべて前歯の後方への移動に使えるので、前歯の後退量が大きくなり重度の出っ歯でも治療が可能になります。

 

③奥歯の移動

最後に挙げられるのが、奥歯を移動する矯正治療です。

 

従来の治療方法では歯を後方にさげる移動が難しいとされてきましたが、アンカースクリューを固定源に利用すれば、歯を後方に移動させることが可能になります。そのため従来は抜歯が必要な場合であっても、アンカースクリューを併用することにより歯を抜かないで矯正治療ができるようになりました。

 

また、奥歯を後方に移動することができるため重度の出っ歯や受け口、また奥歯を上下に移動することも可能なため、重度の開咬の症例もアンカースクリューを併用することにより、外科手術を避けることができる場合もあります。

 

しかし、すべての症例でできる移動ではなく、移動させる方向に骨がなければ後方にも上下にも奥歯を移動させることはできません。CTなどによる事前の精密な検査が必要になってきます。

 

アンカースクリューは痛い?

頬に手を当てる女性

アンカースクリューによる治療は、従来の歯列矯正に比べて痛みの少ない治療方法であるとされています。

 

アンカースクリューを歯に埋め込むと聞くと、痛そうなイメージを持つ方もいるでしょう。しかし、歯に埋め込む処置はほとんど痛みを感じません。というのも、人間の骨には痛覚がないためです。

 

なお、歯ではなく歯茎には痛みを感じる可能性があります。しかし埋め込む際には歯茎へ局所麻酔を実施するため、こちらもほとんど心配する必要はありません。歯茎の表面のみに施すため、麻酔の量も少なくて済みます。

 

アンカースクリューを入れる処置も数分で終わるため、ほとんどの方が思っていたよりも大丈夫だったと言われます。術後傷口が治るまでの数日は多少の痛みが残りますが、痛み止めのお薬を1~2回飲む程度で治まります。

 

アンカースクリューの矯正にかかる費用

会計トレーの上に乗った現金と電卓

アンカースクリューによる矯正の費用は、スクリュー1本あたり2〜4万円程度です。

治療中にアンカースクリューが抜け落ちてしまった場合は再埋入をすることになりますが、再埋入は無料で行ってもらえるクリニックがほとんどです。

 

まとめ

アンカースクリューによる矯正治療とは、歯茎の骨にスクリューと呼ばれる小さなネジを埋入して行う治療のことです。

 

周囲の歯ではなくスクリューを固定源にして歯を動かすため、上下左右への柔軟な移動・奥歯の後方移動など、従来の歯列矯正では難しかったような治療も実現可能です。抜歯なしで治療を行えるほか、治療期間も短いため、体への負担も少ない治療です。

 

目白歯科矯正歯科は、日本矯正歯科学会の認定医が院長を務める歯科クリニックです。充実の医療設備と丁寧な診察をもとに、安心安全な治療をご提供します。アンカースクリューの矯正治療をご検討中の方は、ぜひ目白歯科矯正歯科へお越しください。

 

監修:山澤 秀彦 (やまさわ ひでひこ) 目白歯科矯正歯科/院長

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