八重歯(乱ぐい歯)は矯正した方がいいの?3つのメリットや抜歯の必要性を解説

八重歯(乱ぐい歯)は矯正した方がいいの?3つのメリットや抜歯の必要性を解説

八重歯(乱ぐい歯)は矯正した方がいいの?3つのメリットや抜歯の必要性を解説

八重歯は口元の印象を大きく変えてしまうため、コンプレックスに感じ矯正を検討している方も多いのではないでしょうか。口を閉じた状態でも八重歯が出ることもあり、目立ってしまうケースもあります。

しかし「八重歯の矯正って歯を抜くの?」「矯正って大変なんじゃ……?」と不安を感じ、なかなか踏み出せないこともあるでしょう。

今回は、八重歯のような歯並びは矯正した方がいいのか?という疑問を解消します。矯正のメリットや抜歯の必要性についても解説するので、八重歯でお悩みの方、歯列矯正を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

八重歯(乱ぐい歯)は矯正した方がいい?

八重歯 矯正

八重歯は、ときにはチャームポイントとなり愛らしい印象を与えることもありますが、口内環境の悪化や全身への悪影響を及ぼすこともある歯並びのため、歯列矯正をするのが望ましいでしょう。年を重ねても自分の歯で楽しく食事をとり、会話を楽しむためにも、八重歯の矯正を前向きに検討するようにしましょう。

 

そもそも八重歯とは?

八重歯とは

八重歯とは上顎の犬歯が両隣の歯よりも外側に飛び出している状態のことをいいます。叢生(そうせい)や乱ぐい歯と呼ばれることがありますが、歯科では「上顎犬歯の低位唇側転位」といいます。両側が八重歯になることもありますが、場合によっては片側のみ八重歯になることもあり、状態は人それぞれです。

 

八重歯のリスク

八重歯は、そのままの歯並びで過ごすことはさまざまなリスクがともないます。たとえば、歯並びが悪いせいで歯磨きがうまくできず虫歯・歯周病になりやすかったり、歯周病や磨き残しが原因で口臭がしたりすることがあります。また、八重歯のせいで嚙み合わせが悪くなってしまうと、周囲の歯に負担がかかるケースもあるでしょう。

また飛び出ている八重歯のせいで唇などを傷つけることもあります。

片方だけが八重歯の場合、上下の正中がずれることが多いため見た目の印象も悪くなってしまいます。

 

八重歯になる原因

八重歯 矯正 原因

歯並びの悪化は先天的なものと、習慣や食生活からくる後天的なものがありますが、八重歯になる原因は主に以下のようなものが挙げられます。

  1. 歯が大きい
  2. 顎の骨が小さい
  3. 前歯あたりに過剰歯が埋伏している
  4. 歯が生えてくる順番に狂いがあった
  5. 犬歯の歯胚(しはい)が成長する過程でずれた

それぞれ複数の原因が重なりあって八重歯になるケースもあれば、顎と歯のサイズが合わず八重歯になるケースもあります。それぞれの原因によって、矯正治療の方法も変わります。また日本人の場合、歯が大きく顎が小さいのに加えて上顎では犬歯が一番最後に生え変わるために萌出スペースが足りなくなることが多く、入りきらずに飛び出て生えてきて八重歯になることが多いと言われています。

 

八重歯の矯正の3つのメリット

八重歯の矯正を検討している方にとっては、矯正でどのようなメリットが得られるのか、気になるのではないでしょうか。あまり大きなメリットが得られないのであれば、高い治療費を支払ってまで矯正する必要がないのでは?と感じることもあるでしょう。

八重歯を矯正するメリットには、以下の4つが挙げられます。

  • 口元全体の印象が良くなる
  • 嚙み合わせの問題が解決する
  • 虫歯や歯周病のリスクが軽減する
  • 口の中を傷つけるリスクが少なくなる

では、それぞれくわしく見ていきましょう。

 

①口元全体の印象が良くなる

八重歯を矯正してきれいな歯並びに整えると、口元の印象が良くなります。口元の印象に変化が起きると、顔全体の印象まで明るくなるケースも少なくありません。八重歯のせいで良くない印象を与えていた口元もすっきりし、笑顔に自信が持てるようになることもあるでしょう。

 

②嚙み合わせの問題が解決する

八重歯がある状態は嚙み合わせが悪いケースが多いです。八重歯は他の歯と嚙みあっていないこともあるため、周囲の歯に負担をかけてしまっています。八重歯が元の位置に戻り、機能的な嚙み合わせに戻ることで顔の歪みや肩こりが改善するケースもあるでしょう。

 

③虫歯や歯周病のリスクが軽減する

虫歯や歯周病のリスクが軽減

歯並びが整うと汚れも付きにくくなり、また歯磨きがしやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが軽減します。重なり合う部分がなくなるため、清掃性の高まりが期待できるでしょう。歯周病は歯を支えている骨を溶かしてしまう病気なので、進行して手遅れになる前に、手を打っておく必要があります。

 

➃口の中を傷つけるリスクが少なくなる

八重歯は、歯列から歯が大きくはみ出て生えている状態のため、唇や頬の内側を噛んだり傷付けてしまったりすることが多い歯並びです。八重歯が改善され、正しい位置へ歯が収まることで、口の中の粘膜が傷ついてしまうリスクがグッと下がるでしょう。

 

八重歯の2つの矯正方法

八重歯の矯正方法

八重歯の矯正方法は、一般的なワイヤー矯正と、目立ちにくいマウスピース矯正の2種類があります。それぞれの矯正方法に特徴やメリット、得意としている症例などがあるため、どの矯正方法で八重歯をきれいに整えるかは、医師とよく相談するようにしましょう。

ここでは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のそれぞれの特徴について解説します。

 

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、その間にワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。表側矯正と裏側矯正(舌側矯正)があり、どちらも歴史が古くさまざまな研究が進んでいるため、もっともポピュラーな矯正方法といえるでしょう。

ワイヤー矯正に関する内容を、以下の表にまとめました。

 

費用 60~100万円
期間 約2年(保定期間は除く)
メリット 適用される症例が多い

見えない矯正装置もある(裏側)

装置の取り外しがない

仕上がりの微調整が可能

デメリット 装置が目立つ

痛みをともなうことがある

歯磨きがしにくい

装置の違和感が強い

 

ワイヤー矯正は適用できる症例が多いため、八重歯の矯正も可能です。ただし、八重歯の矯正は歯を動かす量が多くなるケースが多いため、治療期間が長くなってしまうケースがあります。期間が伸びると費用も高くなることがあるため、事前に確認しておくと安心でしょう。

また、装置は取り外せないため、月に一度ほどのペースで来院して調整する必要があります。調整後は少し痛みが出ることがありますが、ほとんどの方が耐えられる程度です。

 

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、段階ごとに形の違うマウスピースを交換しながら装着して、少しずつ歯を動かしていく矯正方法です。必要に応じて歯にアタッチメントや歯科用ゴムを用いて矯正力を高めます。

マウスピース矯正に関する内容を、以下の表にまとめました。

 

費用 70~120万円
期間 約2年~2年半(保定期間は除く)
メリット 装置が目立ちにくく取り外し可能

矯正中の違和感や痛みが少ない

これまでと同じように食事や歯磨きが可能

来院回数が少なくてすむ

デメリット 適用できない症例がある

マウスピースの着脱が面倒に感じることがある

気軽に飲食できない

マウスピースを使えないと治らない

 

 

マウスピース矯正は、アライナーと呼ばれる透明のマウスピースをご自身で装着して歯を動かしていきます。自分のタイミングでマウスピースを取り外せるので、見た目が気になる方に向いている治療法といえるでしょう。

ただし、研究が進んできているため適用範囲は増えましたが、八重歯の矯正ができるかは状況によって異なります。マウスピース矯正を検討している場合は、適用される症例かどうか、医師に判断してもらいましょう。

 

八重歯は抜歯が必要なケースも多い

抜歯が必要なケース

八重歯を矯正する際に、抜歯が必要なケースがあります。歯を抜くことに抵抗のある方も多いですが、すべての症例で抜歯が適用されるわけではないため、まずは歯科医院で相談してみましょう。

歯列矯正で八重歯の抜歯が必要なケースは、主に以下のようなケースです。

  • 歯の重なりが強い
  • 寿命が短い場合(虫歯や歯周病、歯根の割れなど)
  • 八重歯が生えている位置が悪い

では、八重歯以外の歯を抜歯するケースと、八重歯を抜歯するケースに分けて解説します。

 

八重歯以外の抜歯

八重歯の矯正治療では、すぐ隣の前から4番目の歯(第一小臼歯)を抜く方法が一般的です。4番目の歯は出っ歯や口ゴボ、重度のガタガタなどを矯正する場合にも、抜歯が適用される部位です。どの歯を抜くのかは症例によって異なるため、抜歯が必要になった場合は「なぜその歯を抜くのか」を聞いておくと安心できるでしょう。

犬歯は歯のなかでもとくに寿命が長い歯です。八重歯の位置や歯周病のリスク、嚙み合わせに問題がない場合は、犬歯以外の歯を抜くケースがたくさんあります。

八重歯の抜歯

八重歯となるのは上顎の前から3番目の犬歯ですが、犬歯は歯の根が太くて長いため寿命も長い歯といわれています。できれば残しておきたい歯に分類されますが、八重歯だけが歯並びから完全にとび出している場合や、八重歯の位置が悪く歯周病や虫歯になっている場合には、八重歯自体を抜いてしまうこともあるでしょう。しかし可能な限り犬歯は残すようにするのが一般的です。

また、八重歯の虫歯が進行して神経にまで到達していたり、歯周病がかなり進行、歯の根が割れてしまっていたりする場合は、八重歯を抜いてしまうことがあります。矯正力に耐えられるか不明な点や、八重歯を残しておくリスクが高い場合は、いさぎよく諦めて抜歯すると気持ちが楽になるでしょう。

抜歯と聞くと「健康的な歯を歯列矯正のために抜いてしまう」というマイナスイメージが強くなりがちですが、より健康的で機能的な歯列に整えるためには、抜歯が必要になるケースがあることを覚えておきましょう。

八重歯は部分矯正できる?

八重歯 部分矯正

部分矯正は全体矯正よりも費用や治療期間の負担が少ないことから、希望する方も多い治療法です。八重歯の部分矯正は、奥歯の嚙み合わせに問題があることが多く部分矯正では対応できないことがほとんどですが、軽度の八重歯であれば部分矯正が可能なケースがあります。

しかし、部分矯正は口のなかで一部の歯並びや嚙み合わせだけを矯正する治療法のため、症例によっては最適でないケースもあります。全体的なバランスを考えながら、部分矯正が可能かどうか、医師に判断してもらうようにしましょう。

まとめ

八重歯の歯列矯正について解説しました。歯列矯正は長期間に渡り通院が必要な歯科治療で、費用も決して安いとはいえません。八重歯の矯正をする際は歯科医院を安易に選ばず、きちんと診断してくれる医院を探しましょう。

目白歯科矯正歯科では、日本矯正歯科学会の認定医が矯正治療を担当しています。矯正の専門医である院長が一人ひとりに最適な治療計画を提案しているので、八重歯でお悩みの方、歯列矯正を検討している方は、ぜひ一度目白歯科矯正歯科へご相談くださいませ。

 

監修:山澤 秀彦 (やまさわ ひでひこ) 目白歯科矯正歯科/院長

歯科コラム

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