2024/09/24
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お口の一番奥に生える親知らずは、きれいに並んでいた歯並びを悪くしてしまう可能性があります。しかし、親知らずは、一概に抜歯をしたほうが良いともいえません。
この記事では、親知らずが及ぼす影響と、抜歯の必要性の有無について解説します。以前に比べて歯並びが悪くなったと感じる方は、ぜひ最後までお読みください。
親知らずとは、永久歯の中でもっとも遅いタイミングに、一番奥へ生えてくる歯です。前から数えて8番目の歯を指しており、正式名称では「第三大臼歯」または「智歯(ちし)」と呼ばれています。
親知らずが生える時期は、10代後半から20代前半のことが多いです。生えてくる時期が遅いため、親も生えてきたことを知らないという意味で、親知らずという言葉が広く使われています。
親知らずは一般的に、上下左右に1本ずつの合計4本生えてくるのが特徴です。退化傾向の高い歯なので、もとから親知らずがない人や、歯はあるけど極端にサイズが小さいなど、個人差が多く現れます。また、スペースが足りずに半分埋まったままの状態(埋伏歯)や、生える方向が悪く、歯が傾いてしまうなどの位置の異常もよく起こるでしょう。
親知らずは、もともと整っていた歯並びや咬み合わせを悪くすることがあります。歯並びや咬み合わせが悪くなる理由は、狭いスペースに無理やり生えたり、斜めに傾いて生えたりすることで、手前の歯を移動させる力が働くためです。
下記に当てはまる方は、親知らずが原因で歯並びや咬み合わせが悪くなっている可能性が高いでしょう。
以下からは、親知らずによって引き起こされる可能性のある、下記の問題について解説します。
親知らずは、まっすぐ生えることもあれば、横向きに生えることもあります。歯のサイズに対して顎が小さかったり、顎に対して歯のサイズが大きかったりすると、親知らずが生えるための十分なスペースがなく、横向きに生えやすくなるでしょう。
横向きで生えてきた親知らずが隣の歯を押し、歯並びが乱れることにつながります。
親知らずは上下左右で4本生えるケースがありますが、必ずしもすべて生えるわけではありません。1本だけ生えたりすることで、親知らずが延びすぎて生えてしまいバランスが崩れ、咬み合わせが悪くなるケースがあります。
また、一部分だけが生えている場合などは、親知らずが早期接触を起こして下顎がずれて咬み合わせが悪くなってしまう場合もあります。
また先ほどの通り、親知らずが斜めや横向きに生えたことで他の歯に力を加える場合もあるでしょう。力が加わって押された結果、歯並びが悪くなり、咬み合わせにまで悪影響を与えることとなります。
後戻りとは、矯正治療を行った後に、歯が治療前の状態へと戻る現象のことです。矯正治療を行った後に親知らずが生えてくると、親知らずが隣の歯を押し、せっかく整えた歯並びをまた悪くする可能性があります。
親知らずは、歯並び以外にも影響を与えます。以下では、そのほかの影響を4つ見ていきましょう。
親知らずがあると、その周囲の歯が虫歯や歯周病になりやすくなります。虫歯や歯周病の原因は、磨き残しによるプラークの中の細菌です。お口の一番奥に位置する親知らずは、歯ブラシが届きにくいため、プラークがたまりやすい部分です。半分だけ生えている(部分的に歯茎が被ったまま)場合は、特にプラークを落としにくい状態といえるでしょう。
この親知らずにたまったプラークが、親知らず自体を虫歯にしてしまいます。それだけでなく、隣の歯が虫歯や歯周病になってしまう原因にもなりかねません。
磨き残しなどが原因で、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こしてしまうことがあります。そうなると、親知らずの周囲が大きく腫れて痛みが出ることにつながるでしょう。こうした親知らず周辺の組織の炎症を、智歯周囲炎と呼びます。むし歯や歯周病、智歯周囲炎が進行してしまうと、顎の骨やリンパにまで感染が広がって腫れ、痛みが強く出ることもあります。
軽度であれば、症状は患部に触れたときに少し痛む程度で済むでしょう。しかし炎症が悪化すると、何もしなくても痛むようになったり、飲み込む動作がつらくなったりするなどの症状が起こります。
口臭の原因として親知らずで一番関連性が考えられるのは、歯周病です。歯周病になると歯周ポケットができ、この歯周ポケットが細菌にとって格好の住みかになってしまいます。特に部分的に歯茎がかぶさっている場合、歯茎の下部分は汚れが取りづらいため、細菌がたまりやすくなってしまうのです。
歯周ポケットの中では、歯周病菌の代謝により、硫化水素やメチルメルカプタンという強い臭いの成分が発生し、口臭が引き起こされます。親知らずの周囲は深い歯周ポケットができやすいため、口臭につながるケースも少なくないでしょう。
そのほか、親知らずに大きな虫歯がある・食べ物がずっと挟まっている・プラークが厚く付着しているといった状況にある場合も、口臭が発生しやすくなります。親知らずは一番奥にある歯であるため歯ブラシが届きにくいですが、しっかり磨くようにしましょう。
噛み合わせがあまりにひどいと、食事で食べ物を噛みやすい部分が偏ってしまいます。そうすると、筋肉の緊張によって全身のバランスが変わり、姿勢にまで影響を及ぼしてしまうのです。姿勢が悪くなった結果、肩こりや頭痛を引き起こすことも知られています。
歯列矯正では、親知らずを抜歯するケースもあれば、しないケースもあります。抜歯が必要となる主なケースとしては、以下が挙げられるでしょう。
歯列の中でデコボコが大きく歯同士の間にほとんど隙間がないケースなど、歯を並べるスペースが足りない場合は、歯列にスペースを作り出さねばなりません。この場合は親知らずを抜き、それによって生まれたスペースを利用しながら歯を後方に動かして、歯を並べるスペースを作るようにします。
顎が小さい人の場合、歯をきれいに並べるためのスペースが足りないため、どこかの歯を抜いてスペースに余裕を持たせなければなりません。そこで、親知らずを抜いてスペースを作り出すのです。
また、顎が小さい人は親知らずが横向きに生えてきやすくなります。横向きに生えてきた親知らずは、隣の歯に力を加えて歯並びを乱す原因になるため、親知らずによって歯並びが悪くならないよう抜歯を行います。
親知らずが横に生えていると、親知らずが隣の歯を圧迫して歯並びを乱し、後戻りするリスクが高くなるでしょう。きれいに整えた歯並びがまた乱れては困るため、親知らずを抜いて後戻りのリスクを減らします。
前述の通り、親知らずが1本だけ生えてバランスが崩れたり、斜め・横向きに生えて隣の歯に力を加えたりすることで、噛み合わせが悪くなるケースは少なくありません。歯列矯正できれいな噛み合わせを実現できるよう、噛み合わせを悪くする原因となる親知らずを抜歯することもあります。
親知らずは奥にあって歯磨きが難しいため、むし歯や歯周病になりやすい傾向にあります。親知らずがむし歯・歯周病になった結果、隣の歯にまで悪影響を及ぼすケースもあるでしょう。こうして口内環境がどんどん悪くなっていくのを防ぐために、抜歯することもあります。
以下のケースに当てはまる場合は、親知らずが生えていても抜歯せずに歯列矯正を行う可能性が高まります。
歯列にスペースを作るために、親知らずを抜くケースは少なくありません。しかし親知らず以外の歯を抜くのであれば、親知らずを抜かなくても歯を並べるスペースが確保できます。そのため、親知らずを抜かない可能性が高まるでしょう。
斜めや横向きに生えている場合、歯並びを乱すなどの問題を引き起こすリスクがあります。しかし真っ直ぐ生えているのであれば、歯並びに悪い影響を与えない可能性が高いため、抜歯をしなくても良くなります。
親知らずが完全に顎の骨の中に埋まっている場合、歯並びに悪影響を与えたり、むし歯や歯周病を引き起こしたりするリスクは低いでしょう。よって、抜歯をする必要性はなくなります。
むしろこうした親知らずを抜こうとすると、顔が腫れたり、神経を傷つけたりする可能性があるため、無理に抜くことは避けたほうが良いでしょう。
親知らずが斜めや横向きに生えていると、隣の歯を押して歯並びが悪くなるケースがあります。歯並び以外にまで悪影響を与えることもあるため、親知らずが気になる方は、歯科医師に相談してみてください。
目白歯科矯正歯科では、う蝕治療や歯周病治療などの一般歯科から矯正治療まで、幅広い治療に対応しています。外科治療の経験が豊富な口腔外科の認定医も在籍していますので、親知らずの状態が気になる方は、目白歯科矯正歯科にご相談ください。
監修:山澤 秀彦 (やまさわ ひでひこ) 目白歯科矯正歯科/院長