矯正歯科でも医療費控除の対象になる?子どもの場合は?申請方法を紹介します

矯正歯科でも医療費控除の対象になる?子どもの場合は?申請方法を紹介します

矯正歯科でも医療費控除の対象になる?子どもの場合は?申請方法を紹介します

歯列矯正の費用は、決して安いとはいえません。少しでも安く抑えるために、医療費控除の申告を検討している方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、歯列矯正の医療費控除について解説します。申請方法の流れや計算例もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

矯正歯科でも条件を満たせば医療費控除の対象になる

医療費控除とは、一年間に支払った医療費が10万円を超える場合、確定申告を行うことで税金の一部が還付される制度のことです。歯列矯正は費用が高額になることが多いので、10万円を超えることは難しくないでしょう。そのほかにも特定の条件があります。

 

医療費控除の対象になる条件

ワイヤー矯正した歯の模型

医療費控除を受けるためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。医療費控除を申告する前に、以下のような条件を満たしているか確認しましょう。

 

  1. 所得税を納税している
  2. 機能回復のための歯列矯正である
  3. 年間の医療費が10万円を超えている
  4. 本人もしくは家族が支払った医療費である

 

大人と子どもの歯列矯正は、目的が異なるケースがあります。ここでは、それぞれが対象となるケースを解説します。

 

大人の歯列矯正が医療費控除の対象になるケース

大人の歯列矯正は、審美的な改善が目的で行われることも多いでしょう。医療費控除は、あくまでも口腔内の機能改善を図ることが目的の歯列矯正が対象です。そのため、「容ぼうを美化するための費用」は対象にならないことがあるでしょう。

 

自分で判断することは難しいので、歯科医師に医療費控除の対象となる症例かどうか、確認してみましょう。また、大人の歯列矯正で医療費控除を申告する場合は、歯科医師の診断書が必要なケースがあります。診断書の発行が可能かどうか、あわせて確認しておくと安心です。

 

子どもの歯列矯正が医療費控除の対象になるケース

子どもの発育に影響をおよぼすような歯並びや、噛み合わせの改善を目的とした歯列矯正が医療費控除の対象です。子どもの歯列矯正の場合は、多くの症例で医療費控除の対象となりますが、すべてのケースで対象となるわけではありません。

 

また、永久歯が生えそろう時期に行われる矯正(二期治療)は、大人の矯正と判断されることがあります。ただし、乳歯と永久歯が混在する時期の矯正(一期治療)からの移行であれば、子どもの矯正と認められることもあるでしょう。判断が難しい場合は、歯科医師に相談することをおすすめします。

 

矯正歯科での医療費控除の対象になる費用

電卓を持つ女性 OK

医療費控除で申告できる「医療費」は、歯列矯正代として支払った金額だけではありません。以下の項目も医療費として計上できるため、確認してきましょう。

 

  1. 実際の治療にかかった費用
  2. 公共交通機関を利用した場合の交通費
  3. デンタルローンやクレジットで支払った治療費
  4. 処方された薬代

 

実際に支払っていることが確認できるよう、それぞれの領収書をきちんと保管しておきましょう。また、領収書が発行されないデンタルローンの場合は控えを保管し、交通費は日付と金額をメモしておくと申告の際に便利です。

 

医療費の対象とならない費用

医療費控除には、医療費として計上できない項目があります。誤りがあると還付金が受け取れなかったり、嘘の申告をしたことによる罰則があったりするため、十分に注意しましょう。

 

  • ・自家用車で通院したときのガソリン代や駐車場代
  • ・デンタルローンやクレジット払いで発生した手数料
  • ・健康増進のために用いられた医薬品

 

子どもと一緒に通院する際は自家用車を利用する場合も多いですが、医療費として認められるものは公共交通機関を利用した場合のみです。また、分割払いで発生した手数料や、歯列矯正中に自己判断で服用した医薬品も医療費の対象外のため、間違えて申告しないようにしましょう。

 

医療費に含まれるかどうかの判断に迷った場合は、国税庁や税務署へ問い合わせて確認してみましょう。

 

医療費控除を受けられる金額の計算方法

電卓で計算する人の手元

医療費控除の申告は、「医療費控除額」によって還付される金額が異なります。支払ったすべての医療費が「医療費控除」の対象となるわけではありません。

 

医療費控除額の計算式は、以下のとおりです。

 

■医療費控除額の計算式
一年間で支払った医療費の総額(1)-保険金などで補てんされる金額(2)-10万(3)=医療費控除額

 

ただし、年間の総所得が200万円未満の場合は、年間に支払われた医療費が10万円を超えていなくても申告できます。その場合、(3)の金額は総所得の5%の金額となります。

 

また、医療費控除の上限は200万円です。それ以上に医療費を支払っていても、医療費控除の対象にはならないため注意しましょう。

 

還付金の計算方法

医療費控除で還付される金額は「医療費控除額」ではありません。医療費控除の対象となる金額に、申告者が収めている税率をかけた金額が、最終的に手元に戻ってきます。

 

還付金の計算式は、以下のとおりです。

 

■還付金の計算式
医療費控除額×所得税率=還付金

 

たとえば、年収400万円の方が、医療費60万円、保険金などで補てんされる金額3万円の場合で申告すると、以下の金額が還付されます。

 

  • ・60万円(医療費)-3万円(保険金などで補てんされる金額)-10万円=47万円(医療費控除額)
  • ・47万円(医療費控除額)×20%(400万円の所得税率)=94,000円(還付金)

 

還付金は税率が高いほど、戻ってくる金額が大きくなります。家族で申告する場合は、もっとも所得の多い方が申告することで、プラスに還付金を受け取れるでしょう。

 

医療費控除の申請方法

右上がりのブロック

医療費控除は年末調整に含まれていないため、会社勤めの方は自分で確定申告をする必要があります。確定申告の方法は、以下のとおりです。

 

1.医療費明細書・確定申告書を作成する
国税庁のホームページより書類をダウンロードし、それぞれもれなく記入しましょう。

2.書類を提出する
書類の提出は、税務署へ直接持参する・税務署へ郵送する・オンライン(e-Tax)申請する方法があります。

3.還付金の振り込みを確認する
おおよそ1~1ヶ月半で還付金が振り込まれます。

 

医療費明細書や確定申告書の記載方法がわからない場合は、税務署へ出向いて記入し、そのまま提出する方法が有効です。ほかにも、国税庁のホームページで公開しているフォーマットを利用すれば、自動的に作成されるため便利です。それぞれに合った方法を利用しましょう。

 

医療費控除の申請に必要な書類

領収書とペン

あらかじめ書類を準備した状態で作成するとスムーズです。すべての項目をもれなく記入し、不備がないようにしましょう。

医療費控除に必要な書類は、以下のとおりです。

 

  • ・源泉徴収票
  • ・医療費の明細や領収書
  • ・医療費のお知らせ
  • ・診断書(大人の歯列矯正の場合)

 

医療費のお知らせは、加入している保険組合から送付されます。なくさないよう大切に保管していきましょう。

 

矯正歯科での医療費控除に関するよくある質問

Q&Aのブロック

ここでは、歯列矯正を行った方が医療費控除をする際に、よくある質問をまとめました。

 

家族の治療費も医療費控除の対象になる?

生計をともにしている家族の医療費を合算して申告できます。離れた場所に住んでいる学生でも、仕送りなどをしている場合は、同一生計と認められることがあります。

 

医療費控除でいくら戻る?

医療費控除額に所得税率をかけた金額が、最終的に手元へ戻ってきます。本記事内でも詳しい計算式を紹介しているので、ぜひ確認してください。

 

高校生は医療費控除の対象になる?

一般的には、中学生までの歯列矯正が「子どもの矯正」とされていますが、一期治療から二期治療へ移行した場合はその限りではありません。高校生の歯列矯正でも治療が必要と判断された場合は、医療費控除の対象になるでしょう。

 

治療費の領収書はいつまで保管する?

確定申告で医療費控除をした際の領収書は、5年間の保管が義務付けられています。申告の際に領収書を提出する必要はありませんが、記載事項を確認するために提出を求められることがあります。なくさないよう大切に保管しておきましょう。

 

医療費控除の申請はいつまでに行う?

ガマ口財布とカレンダー

医療費控除は確定申告内で行われるため、治療を受けた翌年2月16日から3月15日までに申告する必要があります。申告できる医療費は、1月1日から12月31日に支払った金額です。年をまたいで治療費を支払っている場合は、その年ごとに申請が必要です。万が一、翌年に申告し忘れても、過去5年間の医療費は申告できます。

 

まとめ

矯正治療の医療費控除について解説しました。初めて行う方にとっては戸惑う作業かもしれませんが、手順を確認しながら進めるとそう難しいことはありません。高額になりがちな医療費を抑えながら、矯正治療を受けましょう。

 

目白歯科矯正歯科では、矯正治療の計画から経過観察まで、すべてを矯正歯科専門で経験を積んだ院長が担当しています。表側矯正だけでなく、裏側矯正、マウスピース矯正などさまざまな矯正タイプの対応が可能です。矯正治療に関するお悩みをお持ちの方、矯正治療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

 

監修:山澤 秀彦 (やまさわ ひでひこ) 目白歯科矯正歯科/院長

 

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